白いはな

生まれて初めて、友達の結婚式に行く。目黒にある由緒正しき日本庭園がある結婚式場は、生憎の雨ながら、冴えた新緑の樹々が美しかった。

小さい頃から知っている彼女は、勉強・運動は勿論、ピアノも弾けるし、字もうまい。…彼女の右に出るものはおらんぐらいの優等生。(中学時代、3年間、オール5で通した人なんて、彼女意外に見たことない。。)

でも、ほんとは知ってるよ。皆には、なんでもできる器用な子ぉやと思われていたけれど、本当は、凄く不器用なこと、知ってたよ。も〜〜…、イヤんなるぐらい真面目に一途に取り組むあなただったから、それが努力したからこそもたらされた結果だった、ということ。…知ってたよ?そして、皆から自分自身を“優等生”だと思われている事、ほんまはしんどいのかもしられへん…、と思ってた。言葉では聞いたこともないけれど、そういう風に感じることがあったんだ。

まだ中学生。バスケット部で部長だった“はな”があろうことか、顧問のセンセイに“真面目すぎるっ”て、皆の分まで怒られていたけれど、そういう所が不器用やなぁ、って人事ながら思ってた。足が速いんやから、逃げ足も速い方が良かったのにね。一方で、“このいい加減女!”て、怒鳴られては平手を飛ばされていた私が言うんだから、信憑性なんて全然ないねんけれど、(…それにしても、この違いはどこから来るんだろう。)それでも“まっすぐあろう”と耐えている姿は、やっぱりいじらしかったと思う。

結婚式場の立派な日本庭園を散策すると、白いウツギの花がささやかに咲いていたのを、彼女は目にしただろうか。雨に濡れても尚、まっ白なウツギが懸命に咲いていたこと。…いじらしさが、ちょっと似ているようで足を止めては見とれたよ。

ここで余談。(…むしろ、余談の連続すぎるなこの日記。。)
友達が書いたご両親への手紙。小さな頃、彼女の父上から貰った言葉を紹介していた。“お前は、将来必ず美人になるぞ”、と言われて育ったこと。それに対して、彼女はこう言っていた。“子供心に、それはない、と思っていたけれど、その言葉が嬉しかったし励みになった”、と泣きながら、呼びかけていた。うん。でも、まっ白ウェディングドレス姿は、胸に沁みるぐらい美しかった。父上の言葉はほんまになっちゃったね。…言霊ってあるかもしられへん、と言葉の力を思い出す。

今日は、ほんまにおめでとう。末永く、お幸せに。そして、何よりも嬉しかったのは“はながはならしく”ありのままの自分で笑っていられる居場所が見つかってほんとに良かった。そういう人と巡り逢えたこと、ほんとに良かった。…だって、中学生だった頃の私には、この先がどうなっていくかなんて、何にもわかんなかったから。人生最良の日に立ち会えてとてもとても光栄でした。

【今日のひと花】ウツギ(Deutzuia gracilis)/ユキノシタ科/耐寒性落葉低木/別名:ウノハナ/原産:日本(関東以西) /花期:4月下旬〜5月/耐霜性強。日なたと水はけの良い用土を好む。名の由来は、幹が中空になる為。また、卯月(陰暦4月)に咲く為。初夏の到来を告げるかのように、美しい白い5弁花を咲かせる。