いざ、デザインフェスタへ。

いざ、ゆかば。
自己主張の嵐!とばかりに面白い(もしくは、妙ちきりんな)作品がずらりと一望できるデザインフェスタへ出陣する。…出陣と言わざるを得ない出展ブースの多さ!世の中には、色々な形の自己主張の形があるんやな〜、と毎回行く度感心する。今回、ふいうちで胸打たれたのは、“軍艦島”の写真達だった。そんなつもりじゃなかったのに…、と思いつつなんだか泣きそうになった。

大正5年に建築された日本初の鉄筋高層アパート。日本初の屋上庭園。日本初の海底水道等の最先端時術の結集。「超近未来都市」といわれた炭鉱都市。それが、今や閉山されて早30年。朽ち果てている。朽ち果てる寸前のモノが持つ生命力に胸打たれる。建物が朽ち果てていく一方で、漲る生命力。矛盾するようやけど、確かに力強いまでの命の欠片が疼いている。確かにここには、生活があって、人々の暮らしがあって、一時は東京の9倍もの人口密度を誇る人がいたのに。今はもう、誰もいない。生活の記憶を内に秘めて、廃墟はただそこに存在する。

沈黙の中の響きは、途方もなく響く。

人がそこに見るのは、ただの廃墟ではなくそこに疼く生命力やと思う。痛みながらの生命力。ほんまに、心から圧倒される。…ここにて、ノックダウン。デザインフェスタ道半ばにして、休憩を余儀なくされる。それぐらいの集中力を要した。ちなみに、友人と買った写真を見せあうと、友人は“人々の暮らしの残像”を納めた淡いモノクロ写真を、私は“色味の強い夕日や樹木に照らされた廃墟の写真”を選んでいた。2人とも夢中で選びつつ、違う部分に反応してるんやな〜、と思うと人との違いはつくづく面白い。この日、様々な出展ブースの中でも写真やイラスト、手ぬぐいばっかり、ばっかり!見ていた。なぜ、手ぬぐい。されど手ぬぐい。手ぬぐいにも胸熱くし、途方もなく疲れながらも満ち足りて帰宅した。