100万人のキャンドルナイト

本日、夏至夏至冬至と言えば、巷(ちまた)では、“100万人のキャンドルナイト”をうたっている。100万人のキャンドルナイトは、夏至冬至の20:00〜22:00のわずかな時間、電気ではなくキャンドルの灯火を…、というエコロジー的取り組み。“地球環境とよりよい都市生活を考えるワンデイ”を掲げている。都市では、街全体が休まることを知らず、“闇夜”という言葉は、死後に近い。それ程、多くの人々が夜遅くまで、働いたり、遊んだり、時には酔っぱらったりして暮らしている。夜の街並みを彷徨うと、その事がよくわかる。

“電気を消してスローな夜を”という問いかけに、この日ばかりは勿論勇んで応じることにする。会社からの帰宅後、共感した想いを胸にキャンドルに火を灯す。久々灯す、ロウソクの光。使い古したそれは、なんだか弱っちくて、笑えるぐらいだった。白い・青白い、小さな炎。

かつて、1人旅をした滋賀県彦根城のふもとのロウソク屋さん。この地方で造られていた、“和ろうそく”を初めて見た。白いろうそくに、花柄を施した和菓子のような繊細な形姿。灯されたろうそくの光を観察すると、現代文明で造られるロウソクの、あの強く放つ炎ではない、天をめざしてゆらめく儚い光。炎って、こんなに柔らかい光だなんて、知らへんかったな〜…、とつくづく見入ってしまうぐらいだった。…いつか、再びあの土地を訪れよう。そして、大切な友人達にもおみや(おみやげ)にしよう、と思えるろうそくが、その場所には潜んでいる。

闇夜を強く意識した今宵。帰り道、クチナシが香っていた。香りのある花は、視覚が効かない闇夜にこそよく映える。自転車に乗りながら、“暗闇のウェーブ”が、少しでも広がるように、と願ってみた。