千倉の海

夏休み。千葉県千倉の海へと旅に出る。今回のお目当ては、千倉の海と吹きガラス工房へ足を運ぶこと。

海と言えば、泳ぐもの?であるはずなのに、私にとっては眺めるものとして存在する。眺めて歩いて、見る見る見る。そのようなもの。東京駅から特急“ビューさざなみ”で向かった千倉の町は、窓ごしから“さざなみ見るぞー”と、思っていた私にとっては不意打ちを食らう結果になる。衝撃と笑撃。行けども行けども、車窓から見渡せるのは山・山・山…。山と畑と田んぼが目に入ってくる。海を目指しているハズなんやけどな~…、と小首をかしげたくなる有様だった。

そんなこんなで舞い降りた千倉の駅は、お世辞にも“観光がんばってんねんで〜”という、勢いも気配もなく、いい感じに古びての〜んびり・のびのびした印象を受ける町だった。ガツガツしてなくてええな〜、と脱力してしまう感じ。のびのびついでに町を歩くと、植物もなんだかのびのびしている。むしろ、強そうに野趣溢れる趣だった。。なぜか道ゆくどの家も、アロエが野生化していて驚いた。…なんて、勇ましいことでしょう。ローズマリーも伸びっぱなしで、うねるように生えている。都会の店で、鉢に植えてある上品なハーブ類やアロエとは、似ても似つかない姿が、そこに展開されているので笑ってしまう。

そんな風にぶらぶらしながらたどり着いた、千倉の海は波が高いくせに穏やかだった。あれは、海の色によるのでしょう。エメラルドグリーンとも、アクアブルーとも似つかない柔らかな色をしている。途中、立ち寄った“ガラス工房”で分けて戴いた“シーグラス”の色に近い色をしている。ガラスの破片が波間をさまよう内に、角が取れ、まぁるく削られ穏やかな形になった“シーガラス”。あの色にそっくり。

毎回毎回行き当たりばったりの旅なので、飽きることなく ぶらぶらしている。地図が読めない女でもあるので(そのことに、よく驚かれる。が、ほんっとに読めない)、だいたいあっちが海っぽい…、かな?と、ふらふら歩く。獣の勘を研ぎ澄ますと、だいたいはたどり着けるので おかしなものだ。何をする訳ではないのに、旅に出るとリフレッシュするのはなぜなのだろう。きっと、心地よく風に吹きさらされているうちに、日常の中でのしがらみを何もかも忘れてしまうからいいのかもしれへんなぁ。こうゆう一日が、自分を支える糧だと思う。

【今日のひと枝】アロエ(学名:Aloe arborescens) /ユリ科/常緑小低木 /日なたと水はけの良い用土を好み、乾燥に強い。冬は霜を避け、断水する。